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2020.8.27

「paradox soar」イマムラ×GESSHI類対談(1)

皆さんこんばんわ、イマムラです。

 

本日のタイトルは「paradox soar」、ゆくえしれずつれづれ3rdアルバムのタイトルになります。アルバムのことを。

 

ゆくえしれずつれづれ 3rdアルバム
「paradox soar」

©︎ ゆくえしれずつれづれ

ゆくえしれずつれづれとしての3枚目となるアルバムを26日(水)にリリースすることが出来ました。僕がああでもないこうでもないってのはもう皆飽きてると思うので、テキストになるけど、GESSHI類を呼んで対談という形で記事が書ければいいなと思いまして、今日はそんな形を取らせてもらいます。


ーーということで、GESSHI類お疲れさんです。今日は珍しい(?)やったことないっけな、ブログ記事にて対談みたいな形で話せればいいなと思って

GESSHI類 お疲れ様です。ないですね。私自身メディアはおろか公に出ていくタイプではないので。って知ってますよねそれ(笑)おかしいと思ったんですよね、めちゃくちゃ忙しい時期は身内なので見ててわかるのに「ご飯行こう」とか行ってくるから何かと思ったらこんなことですよ…居酒屋でテープ回し始めるし。

 

ーーまぁいいじゃないたまには(笑)どう、最近?

GESSHI類 どう?(笑)どうもこうもご存知でしょう(笑)でもそうですね、読んでくれてる人がどれくらいいるのかわからないですけど、数少ない貴重な方々にわかるようにお伝えすると、一旦制作が終わって一瞬の静けさ…という感じですかね。

 

ーーそうね。なんだかんだと世の中は新型コロナとかでガラッと変わってしまったけど、結構変わらずに音楽してるよねうちら。

GESSHI類 しています。ね。変わらず。変わらずリリースまでするのが結構イカれてるというか…もう少しそういう部分も自粛とかしたらいいと個人的には思うんですけど。ただまぁ、しゃちょがそういう風なので正解はわからないですけど、結局音楽させてもらってますね。数えてないですけど世の中に出してない音源まで行くと40曲くらい書いてますね、今年だけでも。

 

ーーえ、だって普通にコロナだろうが、なんだろうが、うちの子たちの音源聴きたくない?

GESSHI類 そのキラキラした目みたいのが腹立つんですよね(笑)夜中、というか朝とかですかね。平気でLINEしてきて「DEMO来た!!!」みたいな感じじゃないですかいつも。あれご自分が変わり種って自覚した方がいいですよいい加減。世の中全員DEMOで大喜びしないですからね。

 

ーーいや、するよ(笑)超嬉しいじゃん、早く書いて欲しいじゃん(笑)まいいや、違くって!今日はあれ、つれづれの新譜(アルバム)の話をしたかったんだよ!

GESSHI類 全然良くない…そうですね、つれづれ新譜リリースおめでとうございます。小町メイこてたから本当におめでとうです。嬉しいですねリリースってやっぱり、さっき自粛したらいいって言っちゃったけど。

 

ーーでしょ!思い通りってのを考えてなかったんだよね今回。つれづれに関しては毎回コンセプチュアルなことを結構考えがちで。アルバムの絵図が頭にある状態でディレクションしてたんだけど、今回は”今”を詰めてみたくなってしまって。

GESSHI類 なるほど。そこ毎回制作する時に会議とかしないじゃないですかうちって。で、制作する作家がそのしゃちょの想い的なものを”察する”というところから制作が始まるんですよ。これいつも思うんですけど事前にそれを擦り合わせるようになったらきっとつまらないものが出来てしまうんですよね。それを毎回作品一枚作る度に痛感するって言うか。「あ、聞かなくてよかった」って結構思うんです。

 

ーーそうなの? でもわざわざ説明しなくても理解してくれてるので問題ないよねといつも(笑)楽曲単体に関しては凄く議論したりするんだけど、全体像なんて多分説明しても変わっていってしまう部分だったりするから、しないんよね(笑)

GESSHI類 今回はその”良さ”がとても出た一枚だと思っています。マスターをM1〜最後まで聴いて「そういうことですね」って。納得したくなくても納得してしまう。説得力が詰まった盤になったなと思いますね。けど、あなたはご存知でしょうけど、私的には今作に取り掛かる前にしばらく作詞活動を止めようと思っていたんですよ実は。

 

ーーあぁ、言ってたね。

GESSHI類 はい。今までコドモメンタルINC.の一員としてどれくらい書いてきたのかもう覚えていないんですけど多分200曲くらいやってるような気がするんですよね。作詞することはとても楽しいことだし同時に苦しいことでもあって、ただ環境としては最高のものを毎回用意してもらっていて、作家の皆さんについても毎回わがままを言っててこの人たち(コドモメンタルINC.の人たち)じゃないと書けないですとかおよそ作詞家としてはあり得ないことを聞いてもらったりしていて。そんな中で皆が頑張っていて、自分の書くものがある時ふと「ん?」と思うことがあって。それが「Wish/」を書いた後くらいだったんです。

 

ーーアルバムリードでMVにもなってるM1「Wish/」だね。

GESSHI類 そうです。実は「Wish/」は結構前に書いていて。私はこれを書いてしまって良かったのかってずっと悩んでいたんです。サビの「君がもし〜」から書き始めたんです。それから記憶がなくて。気付いたら出来上がっていて。いつもはそれを読み返したり譜割りを確認したりするんです。でもその時それをせずに送ったんですよしゃちょに。

 

ーーん。死んだ。秒で。って返した。

GESSHI類 うん。そう言ってもらいました。アーティストのフェーズについて、作詞をする時出来るだけ考えないようにしようとは思ってるんですいつも。1曲単位で考えたいと言うか。でも考えないようにしようと思って書いたつもりなのに”今なら”ってどこかで思ってしまっていたような気がするんです。今なら手が差し伸べられるんじゃないかって。そんな中で、少し前の少年がミルクが書いた「REDERA」を聴き返してて、なんて自由なんだろう…って涙が出てきて。作詞ってそうだよね、私が徹底的に憧れ抜いた少年がミルクという存在の自由さと表現に打ちのめされたというか。そもそも並べて考えてなどないし、手が届かないことなど理解してるつもりなのに、その自由さに圧倒されてしまって。

 

ーー赤裸々ね。

GESSHI類 ですかね。タイミングかも。何かを創り出すって白紙の状態からそれを埋めて行くわけじゃないですか。「Wish/」を書いて、あくまでも私の中の感覚では”余白”を描いたつもりだったんですね。その中でその余白をメンバーたちが埋めてくれたわけです。それは凄く素敵な創作だったと自分でも思うんですけど、やっぱりその余白さえも自由な創作を見てしまって、なんかもう、凄いっていうか語彙がなくなるなって。でも沈黙してたら次から次へキラキラした感じで送られてくるから、しかも其れを信じて疑わないから、DEMOを聴いてしまうんですよ。聴いてしまったらもう…

 

ーーそうね(笑)これ!みたいな感じで。あ、ちょっと話は変わるんだけど、今回はめぐまし(ぜんぶ君のせいだ。)も作詞に参加してくれてたりするじゃない。それについてはどう?

GESSHI類 純粋に嬉しいですね。凄く嬉しい。愛海氏は以前からちょくちょく一緒に創作をさせてもらってて、彼女は本当に変わってるんですよね(笑)だから創ってても「へーあーなるほど」みたいになることも多い。彼女の頭の中にある風景がきっと色濃いものなんです。たった一言で刺してくるというか、ハッとさせられることが多い。今回の「memento」も凄く良かった。逆にまし氏の「VARITAS」はもう、うん、まし氏だって(笑)作詞って別に正解はないわけで、何がいいとか悪いとかないんです。それでまし氏の本質は結構しゃちょに似てるというか、本人は嫌がるかもですが(笑)好きがカッコいいんですよ、わかります? 好きを疑わないというか、これしかないでしょみたいな感じがする。それって皆が出来ることじゃない、皆もっと自分を疑ってるから。あんな難しい言葉を並べて、それをメンバーも躊躇なくやれるって実はまし氏の方がよっぽどメンバーのことを知っているというか。あの楽曲でメンバーたちの実力は何倍も伸びたし、1曲としての完成度もとてつもなく高い。2人ともアーティストだなぁって実感してます。

 

ーーなんか嬉しいね。じゃあアルバムのことをもっと聞かせて。ぜんぶ聞くけどまず最初として、新曲に関して「これは!」ってのはあった?

GESSHI類 もちろんぜんぶそうなんですけど、うーんそうですね…「Grotesque promise and I really hate me」は新鮮でしたね。まずEisei君は初めましてだったし。

 

ーーそうだったね。

GESSHI類 でもしゃちょの人柄的に妥協で使ったり絶対にしないし、何より音楽に関して面倒くさいくらいまっすぐじゃないですか。鬱陶しいくらい。嫌ならリリース決まってても出さないじゃないですか。で、今回特に紹介もなく「これ!」って言われて、こっちは「いや誰よ(笑)」ってなったんですけど、まぁ聞いても仕方ないかって、認めはったんですねって感じで書き始めて。アルバムを創ってる中で最後の方に書いた楽曲だったんです、この曲は。制作中にもずっと、ずっと考えてたことがあって。メイユイメイと小町に「Grotesque」という単語を発して欲しかったんですよ。でもその単語を言える楽曲はなかって。この曲のサビを一聴した時に「あ、これだ」ってなったんです。

 

ーーこの曲はサビで昇るって曲じゃないんだよね。どっちかってと簡単な言葉で落ち着くと言うか。

GESSHI類 そうですね。サビメロがそうだとしたら言葉でのインパクトは欲しいなと思ったんですよ。でもワンフレーズ目ではない。二回し目のフレーズに「ほら見て、グロテスクなの」って。つれづれのアルバムを制作して良かったなと思えた瞬間でした。皆さんがどう感じるのかわからないんですけど、そう言う細かいフェティッシュみたいなものの積み重ねなんですよね作業は。そして物語の後半、アウトロ部分で綺麗なメロディーがあるんです。そこに「約束は吐き気がするね? いつ許して、また赦して、キリがない地獄ね、黙って居て。」と言うフレーズがあるんです。私的にとてつもない重要なポイントで。歌割りはしゃちょがやるのでいつもお任せなわけなんですけど、出来上がってきたものを聴いた時あり得ないくらい震えたんです。个喆が歌ってくれていて。きっと、多分、誰が歌ってもイメージの斜め上を行ってた気がするんですけど、とてつもないRECをしてくれたんだなって。

 

ーーむちゃくちゃLINEしてきたよね(笑)

GESSHI類 お恥ずかしい…(笑)なんで言うんですか。ただ自分的に凄く重要なフレーズって歌詞の中に存在していて、その意志通りってのはなかなかないことなんです。勝手に作家の1番のグロテスクポイントと言うか、やはりMUSEになってる小町もそうなんですけど、上下左右に揺れる心だったり、感覚の差異みたいなものを表現するのに大事にしたかったフレーズで。1人の人間の中にある心が、1つに成れないって、私は大事にしてる感覚だからこそ、こう出たので、それを最高に表現してもらえただけで感無量と言うか…危うく「ギャラはいりません」と言いそうに…

 

ーー是非文章で頂戴よ「ギャラいりません」って(笑)そう、で、それをこてちゃんに言ったのね僕。そしたらこてちゃんも「一番お気に入りです〜」って言ってた。うん、通じてるなって。でもこてちゃんが「私もグロテスク言いたかったです〜(おこ」って言ってて、しまったとなったよね(笑)

GESSHI類 そうなんですね(笑)まぁ三回しかないのでその辺りは難しいですね。けどさっきからそのアウトロ最後の話うるさいくらいしましたけど、やっぱりそれは導入部分の小町の歌があるから成り立つわけであって。メイの1サビがあって成り立つわけであって。たからのラスサビがあって成り立つわけであって。月並みの言葉になっちゃうんですけど、皆でやれて良かったと思いますね。

 

ーーそうだね素敵な楽曲になった。そしたら他はどうだろう?

GESSHI類 「VARITAS」「memento」については私が書いたものではないのでお話出来ないですけど、書いたもので言えば「howling hollow」は印象深いですね。

 

ーーそれはなぜ?

GESSHI類 大好きな曲調が書けるんだって思って。曲調だけで言えば重めなロックバラードと言うか。コドモメンタルINC.で言えば結構大好きな楽曲があるんですそう言う曲調で。syam「君の中で死んだ僕の憂鬱」だったり、少年がミルク「CURTAIN CALL」だったり、ましろソロの「C”A”RTAIN CALL」もそうだし、マオエニアの楽曲でも。曲調だけで言えばつれづれも今まで絶対なかったかと言ったらそんなことないんですけど、ここまで精神性のあるものではなくて。syva君のDEMOを聴いた時にサビ後ろとか中間イントロやアウトロに入るギターフレーズアルペジオのリフレインがあって、それが死ぬほど綺麗なんですね。重みがあって綺麗なんてつれづれ以外で誰が表現出来るものかって思って。”今”のつれづれも”前”のつれづれも、両方の世界観の中で鳴ってる歌にしたかった。だからそう言う意味では一番ゆくえしれずつれづれと言うものの世界観を踏襲した歌詞にしたくて。

 

ーーそれは歌詞を読ませてもらった段階で一番最初に思ったよね。

GESSHI類 だったら良かったです。進化変化していくことってとても大事だしそれがなかったらアーティスト活動なんて意味のないものになってしまう。けれどその中にも”絶対に変わらないもの”と言う部分が欲しくなるんです、しゃちょもsyva君もいつも言ってくれてますけど。それを体現したかった曲でもあるし、歌詞じゃなくてもメンバーがそれをしっかりと世界観として表現してくれてますよね。

 

ーー僕はサビ入りが英単語ってのも結構珍しいなって思ったんだよね。

GESSHI類 そこは意図的に使わせてもらってます。どちらの英単語も日本人に馴染みがあると思う言葉で。自分的に使って良かったと心底思えたと言うか。今までだったらカッコつけてるように見えて出来なかったことでもあったんです。syva君に導いてもらえたと言うとあれなんですけど、不思議ですね。それから最後のScreamに「(Another?」と来るんですが、そこに辿り着く為の最大のプロセスにラスサビがあるんです。そのフレーズは大事に書いたつもりです。特に「レクイエムより〜」と言う部分を小町に歌って欲しいなと思ってて(勝手に)、デビュー曲が「凶葬詩壱鳴り」で、あの楽曲って当時つれづれのメンバーになる人たちが、今までの自分と決別するレクイエムだったんですよね。そこから時が経って、未だ世界は醜悪だけれど少しだけ前を向ける、泣き続けるし君がいなくても、って。

 

ーーアルバム中盤の大切な楽曲って絶対にあって。ちょうど真ん中に置かせてもらってるの今回この曲を。本当に曲順を決めた時になんて素敵な楽曲だってなったんだよ。奇跡だなぁとしみじみ。あ、GESSHI類、長くなってきたからこの辺で一旦締めていい?

GESSHI類 あ、はい(笑)


まだまだ対談は続いていくんだけど、一旦今日はここまでと言うことで。

 

長くテキスト読んでると疲れてしまうからね、これも十分長いですが。

 

近日中に(2)を更新させてもらえればと思っています。