守りたいもの
皆さんこんばんわ、イマムラです。深夜です。
タイトルは「守りたいもの」です。
そうな風に言うと、とても高尚な理想のようで何だか嫌だった。
そんな風に言うと、とても正義感が強いようで何だか嫌だった。
そんな風に言うと、とても綺麗事を並べるようで何だか嫌だった。
© codomomental
とてつもなくひねくれてしまって、本音を口にすることはどんどん出来なくなっていく。何処かで…そう思っても、想いは喉の奥で煮えたぎる。そしていつかの飴玉みたいになくなっていく。
わ、本書いてるみたいになってる笑
そんなんじゃないんだな。こう、こんな事態になったからこそ理解出来ることってあるね。
突然だけど、僕は仕事が全然好きじゃないです。もう本当に心の底から。どれくらいかって言うと…まだ世の中が派遣業に関する法律をしっかりと整備する前、地元で派遣に登録したことがあります。車の工場で、一番最初はホイールかなんかを作ってる下請けの工場だった。初めて仕事に行ったその日、半日のお昼休憩の時に帰ってきた。怒られたっけ。その次は車のパーツを作る工場。なんか大きな金属板をでっかい金型でガシャってやって形作るようなところで。半日で帰ってきた。くそ怒られたっけ。その次は車のヘッドレストを作る工場だった。半日で帰ってきた。もう呆れられてクズって言われた。いやもう本当にその通り、クズだと思うし、そんなやつダメ過ぎて話にならない。
もう少し話を戻すとコドモと大人の境目の時初めてしたバイトがある。コンビニで。かくかくしかじか秒でクビになった。笑えないくらい笑
今まで人生38年生きてきて、働いたことがあるのはこの4つだけだ。正確に言うと21歳の時に起業するまでの間に働いたことがあるのはこの4回。時間にしたら何時間、何十時間くらいだろうか、それくらいしかない。それくらい仕事が好きではない。いやもうむしろ嫌いだね。それがなんでかって考えたこともないし、そう言う風にインプットされた人間で普通の生活は送れずただの社会不適合者だと思っていた…
今でもはっきり言えてしまう、仕事が好きではない。
そして僕は、人間があまり好きではない。
どれくらいって言うと…なんか上手く説明出来ない。けれど17年間起業して仕事をしてきて、仕事の関係者(自社の人間ではなく取引先など)と食事をする、飲みにいく、などのことをした覚えが数えられる程しかない。正確に言うと、ある時期から人間が嫌いになってしまった。この部分はまた機会があれば書いてみたいとも思うけれど、あまりに色んな傷を抉らなければならないので難しいし、そもそもその部分の需要もないからね。株式会社コドモメンタルと言う会社でも、音楽が好きな関係者、本当に数人としか食事したことしかない。そんな社交性がなくてやってけるのか!って言われるのかもしれないが、なんとかかんとか17年間仕事してきている。持論だが、人には得意不得意があり、出来る限りその得意なことをやった方がいい。そう出来るのならば。そもそも人付き合いが本当に苦手な僕が取引先なんかと食事したらどんなことになるのか…恐ろしさしかない。しかも、人見知りだ。人見知りを発動すると特徴としてとてつもなく険悪なムードを撒き散らし高圧的な態度を取ってしまうこともある。これは37歳の時初めて自覚した自分の特徴だった。
当時まだ違う会社にいたけんた君(高木)も当時をそう鮮明に語っていたし、今コドモメンタルに所属している皆が口を揃えて「怖かった」と言う…
少し書き出してみるだけでも、とてつもなくダメダメだ。
ダメダメすぎるだろう。
ただ、今僕は365日24時間仕事のことを考えている。仕事のことを考えている?そうなのかな、確かに僕はコドモメンタルに関することを常に考えているけれど、イコールそれが仕事なのか…なんか違う気がする。じゃあなんなのか。
人。
それしかないんだよ。
思い返せば2月の後半に今の状況を予測出来たわけじゃない。全く。新型コロナウイルスと言う知らない何かが猛威を奮っている現状なんか世界の中でもほんの少しの人しか理解出来ていなかったはずで。特に僕らのような小舟はもう誰かの言葉に右往左往。正解もわからなければ対処の仕方もわからない。あまりわからないままに危険だと判断され、最初は公演を行わないということに耐えきれなかった。もちろん今は公演というよりもウイルスについて、世間の皆さんと同じくらいの理解力で理解はしているつもりなので、最初の頃に比べたらちゃんとわかっているつもりだ。
あれよあれよで緊急事態宣言が発令され(今は解除されたけどまだ余談を許さない状態だよね)、環境がガラッと変わってしまった。自分たちの環境が変わってしまったことは全世界の人たちに同じように訪れたことだし、長い間生きて来た中でも、初めてだと思われることだらけの数ヶ月間だった、もちろん今もその最中にいる。環境が変わってしまった中で、一番最初に決めたことは、多分皆と一緒に生き残るということだったように思う。決断して掲げるとかそんな暇はなかったのが正直なところで、とにかく生き残らなければという気持ちしかなかった、ようやく今思い返せばという感じだ。
こんなに長期間オフィス(事務所)に居た事もない。それは自分で会社を始めた時から数えてもそうだ。いつだって自分で始めてるからこそ、一人で営業に行って、誰よりも当たり前だけど数字を上げなければと昔は躍起になっていたし、今は様々いるアーティストの誰かの現場には必ず居たいから、制作以外では必ずどこかに居た。でもそれが全てなくなってしまった。この”なくなった”というものが最近ようやく実感出来るようになった。何故なら生き残る為に様々なことを必死に行っていたからこそ、あまり考える時間もなかったように思う。今でさえ、一瞬の空いた時間だもの笑 オフィスに居ると色んなことに気づく。スタッフたちの性格や得意不得意、足りてるもの足りてないもの、事務作業や経理なんてものも含めて色々。それはそれで面白いなと思う毎日だ。
こうして長くやっていても、初めてわかることなんて沢山あって、それは演者の皆に対してもそうだった。数十人の演者がいて、全く不安がっていない人間もいれば、なんとなく不安で一人で居たくないと思う人も居る。この機会に新しいことを始めてみるって人も居るし、そうじゃなくなんとなく毎日を過ごしている人だっている。千差万別だ。千人も居ないけど笑 皆別々だけど一貫して言えることは「LIVEがしたい」と心から想っていること、ここは皆が一緒だった。なんとなくそれを知れただけでも嬉しいなと思えた。
僕はさっき”人”だ。みたいなことを言った。
あぁ、そう。人のことを考えている。コドモメンタルにいる人のこと。それを応援してくれる人のこと。逆を言えばそれ以外はあまり考えて居ないかも知れない。新しい事も、基本的にはその”人”に導かれて考える事だらけだ。
そう改めて考えてると面白くて笑えて来るわけだ。
どこかでも言っているように、僕は親も居ない。ある時期からひとりぼっちで生きてきた。まだ中学に上がった頃の年齢からずっと一人だった。その僕は”誰かのことを考える余裕”なんてなかったし、必死にただ生きていくだけで手一杯だったはずで。どこでそんな生き方に変わったのか、それはよく思い出せないんだけど、やっぱり間違いなく”尊敬している人たち”をどうにかって思う部分からだった気がする。コドモメンタルに居る皆は面倒くさい人(性格の話)が多いって言ったことがあるけれど、それは事実思っていて、だからこそ、うちがなくなってしまったらそんな人たちはどうするんだってなんとなく勝手に思ってる。別に皆ちゃんと仕事は出来る。しっかりもしてる。けれど、なんとなく、おこがましいけど、なんとなくそう思っている笑
ただどれだけ面倒でも、心から尊敬してる。
僕がバンドをしているときに叶えられなかったことを、彼ら彼女らは山ほど叶えていってる。そんな凄いことってないわけで。それを横で一緒に夢見させてもらってるっていつも思うけど、毎回が奇跡なんです。奇跡だらけ。どれだけ時代が変わって、どれだけ世界が変わっても、奇跡を奇跡たらしめてくれるのは演者の皆が居てくれるから。だからと言って僕は僕で、演者に厳しくもするんだけど…それはまた別の話だね
大好きな音楽を、大好きな創作を、嘘にせず、真正面から伝えてくれようとしてる、そんな演者が沢山存在してくれてるからには、この屋形を絶対に守っていかなければならない。そして、その皆がなるべく笑顔で過ごせるように尽力しなければならない。
ここ数ヶ月そんなことだけ考えてた。
今は世間的にはなんとなく自粛解除みたいなムードになっているような気がするけど、まだまだ音楽業界は光が見えない状況続きです。それを実感もする。ツアー各地の箱キャンセルや数少ない関係者の皆さんもしんどい思いをしてる、僕らも絶賛うわーって感じだ、いつもだけど。業界的にクラウドファンディングが当たり前みたいな世の中にもなってて、別にそれ自体が良いとか悪いとかなくて、日常で見る状態になっていて、当たり前は当たり前じゃなくなって、違う当たり前がある。皆泣いてる。大人だから隠して見えないけど、皆が泣いてる。
だけど創作は止めないよ。
僕はいつも”やりたいことをやりたいように”って言うけど、もちろんそれは自分も含めて自分たちの納得が一番大事だと思うからだけど、自分たちの納得に、演者の笑顔とファンの笑顔って大切な要素が必ず入っているから。ね、綺麗事言いよんなーって感じするね、それ自体はなんか嫌な感じだけど、まぁ全然良い。真実なので。
大好きな一曲。大好きな一冊。大好きなアーティスト。大好きな体験。大好きな土地。大好きな場所。大好きになる予定の国や場所の人たち。大好きな人や人たち。
大したことは出来ないけれど、今出来ることなんて言わずもっと欲張りに行きたいと思う。大好きな人や人たちの笑顔の為に出来ることを全力でしたいと思う。それだけ守れればそれで良いと思う。我がままな子供みたいなことを言ってるなと思うけど、いいじゃないコドモメンタルだから大目に見てよ。
前日は必ず眠れなくなる。体調が悪くなるから寝たいのに寝れない。車の中はリラックスした状態で居たいのに後ろに乗ってる皆の状態を常に気にして自分のリラックスは何処へやら。「おはよう」の挨拶、顔色、仕草なんか常に気にして。現場は関係者の皆が先に居てくれるから大きな声で挨拶をして、関係者さながら箱の中をウロウロして考えてる動線が正しく機能するか確認する。ケータリングを友達がやってくれるから搬入を手伝ったり横目で見たりしながらどんなご飯か想像する。もしくはコンビニで大量に物を買う。物販に間違いはないか、忘れ物はないか、スタッフと準備して、リハはその日の体調はどうかコンディションを確認しながら様子を見る。バンド隊の皆は今日も元気かな、演者の皆は、関係者の皆は、なんとなく気にする。先行物販の前はなんでかソワソワする。周りを見回してみるとキラキラした目で列に並ぶファンが居てくれる。大きな声を出そう、買ってくれてもそうじゃなくても「ありがとうね」って言おう。皆の街に遊びにきたよって胸を借りるつもりで。開場は上手く運んでいるか、チケットを忘れてしまった人はいないか、居たらどう対処しようか、子供連れのお客さんも来てくれてる、カップルも居る、色んな人が居る。控室の様子はどうかな、演者はリラックスしてるかな、もしかしたらちょっと神経質になってるかもしれない。軽口を叩きに行こう。なんでもいいから笑わせに行こう。どうでもいい事でもコミニュケーションを取ろう。息づく音、話し声、携帯の灯り。開演アナスンスは自分たちで行おう。勢い余って馬鹿をしてしまう子がいるかもしれないから(笑)。SEが鳴る前に気持ちは全て預けよう。あーだこーだは終わったあとでいい。ステージに立つ演者が全てを伝えてくれる。そう純粋に信じられる。不思議だけど、緊張もするけど。大きな歓声がする。誰も彼もが世界に入る。ほら、
演者もファンの皆も、ただただ笑顔じゃない。
僕は安心して、タバコに火を付ける。
そんな当たり前を、当たり前だった日常を、今は夢に見ています。
早くそうなるといいね。