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2020.8.19

近況(1)配信篇

皆さんおはようございます、朝です。

 

タイトルは「近況(1)配信篇」変えるかもしれないけど、ずっと書こう書こうと思ってなかなか更新出来なかったので。現在は山梨県の山中湖付近でKAQRIYOTERRORの合宿をしながらこの記事を書いています。

 

まず書きたいというか自分の言葉で伝えないとと思っていた件について。「配信」のことかな。ここは結構気になることが幾つかあったので。

©︎ コドモメンタルINC.

昨今の状況になってしまったのは今年2020年2月の後半。その時にはここまで長引くなんてきっと誰にもわからない状態だった。半年経った今も、政府が出している情報は曖昧で、LIVEハウス営業についても各自治体や経営者によって判断基準も独自になっていて、明確なガイドラインで言えば今現在は「イベントは5,000人以下」や「ソーシャルディスタンスを保って」などの点になる。

 

ただこれも明確にはなっていなくて、ソーシャルディスタンスと言っても経営者や関係者によってその辺りも変わってくる。全国一律のそういう決まり事やガイドラインなんかあればどれだけ楽なのか…何度もそう思っています。けど、そんなものはないんです。

 

この部分をまとめると、未だに明確なガイドラインはなく、各地イベンターなどの協会が独自に定めたもので皆が一斉に走り出している。という感じです。これイベンターを入れていないような公演などはもっと独自な要素でLIVEを運営しているということになりますね。

 

そんな状況の中で、この初めてだらけの状況の中で、業界内はまだ模索中ということになります。最近では無観客LIVE配信をようやく皆がやり始めるようになって、少しずつ有観客LIVEも増えて行っているという感じですかね。皆が皆、手探りです。

 

僕は今まで、コドモメンタルINC.を初めてからずっと、作品を出してツアーを回るということを当たり前にしてきました。今も変わらずできる範囲で行っています。言うなれば圧倒的に現場主義でここまでやってきました。その土地土地で待っていてくれる人がいる確証はないけれど、出来る限り自分たちで行ってLIVEをする。それを大事にしてきました。今も感染症対策を各地のイベンターと一緒になって頑張ってやりながらツアーを行ったりしています。

 

そして配信。先日この配信に関することで連絡をもらいました。内容は「現場に来ている人を蔑ろにしている」とのことでした。

 

僕の頭には「?」が浮かんだ。そして「もっとファンの言葉に耳を傾けてくれ」とも書いてあった。とても悲しく悔しい想いでした。皆がどう思っているかなんて知る由もないけれど、大混乱の中精一杯模索して実験して、矢面に立つ覚悟を持ってこの半年を走ってきました。演者の、ファンの、関係者の、その全てのバランスを自分の中で取りながら進めてきたつもりです。そういう自負があったので。

 

自分の気持ちをはっきり言わせてもらえるのならば(あくまで個人的に)「まだLIVEを行いたいと思いません。」例を挙げたらキリがないくらいのリスクを背負ってLIVEを行うからです。ファンの皆からしたら「あ、LIVE出来るようになったんだー」くらいの心持でいいんです、ただこちら側は「このLIVEでもう会社が終わる可能性も十分ある」と覚悟して行っています。会社が終わる可能性があるというのは、皆が応援してくれてるアーティストも終わるという意味です。大袈裟なと思うかもしれませんが、決して大袈裟ではなく、それくらいの覚悟でやっています。

 

それでもLIVEを行うのは、当たり前だけどアーティストごとに物語もあって、関係者の皆さんや、演者のメンタルバランスや、ファンの皆の気持ちなど、様々なことを考慮し、熟考した上でおこなっていることです。

 

僕は今まで現場に来てくれるファンを蔑ろにしたことなどたったの一度だってない。ここは何より悔しく、そして寂しく感じた部分です。苦しくもあったし、なんなら現場全てを閉じようと思ったくらいでした。でも、そう思われてしまっても仕方ない部分があることくらいは理解してる。このコロナ禍の中、裏側のことなど決して伝わらないわけで、なんなら伝わらない方がいいという業界だからこそ、そう思われてしまうんだろうなぁと悲しくなりました。

 

現場に来るファンを蔑ろにしている、と言われてしまった内容は「配信」のことでした。簡潔に言えば「この状況の中、大変な想いをして現場に行っている人がいるのに、無料で配信をするなんて許せない、現場に行く人が損をしている」と。

 

LIVEに関する価値観は個人個人で違うものです。それをどうのこうのなんていうのはありません。

 

所謂女性グループのLIVEには特典会というものが存在します(これも始めてみて初めて知ったけど)。どこからそうなのか知らないけど、そんな文化があります。コロナ禍の今、特典会は最大限のリスクとなります。LIVE会場でLIVEを観るだけじゃなく、個人対個人でお喋りをするからです。ファンの方々が演者と話したい、特にLIVEが終わった後にそうしたいと思ってくれていることは十分、痛いほど理解してる。理解してても、少し前に起こった劇場でのクラスター発生などの状況から鑑みるに決してそれを手放しで容認出来ることではない。だから特典会もないのが現状で。

(追記:特典会に関しては世の中の状況を分析しながら実施を決めています。他所様が特典会を行っているのにコドモメンタルは特典会がないなんておかしいと思われても仕方ないですが、他所がどうのではなく何より感染対策を徹底しても感染するリスクがあるのは理解した上で、その上で申し訳ないけれど特典会や物販をすることによりまた数%でも感染リスクが高まるのだとしたら、今は出来ない、という判断をしています。僕ら会社側は何より演者の青春時代を預からせてもらってる身です。此処に関しては、自分たちや周りの皆さんのことを徹底的に考えて考えて決めています。また特典会の実施をもっと事前に知らせてくれという意見も勿論わかります。今の状況は、毎度次のLIVEの時に特典会が実施出来るかどうか、安全を担保出来るかどうかを天秤にかけながらギリギリまで関係各所と調整しています。先に情報を出すのだとしたら、ギリギリまで調整せず出来るかもしれないけど、いついつまでは特典会が出来ません、と事前に伝えることになると思います、現状では。逆にいついつから特典会を実施しますというアナウンスは現状では出来ないと思っています。それほど現在の感染状況は判断出来ないものだと思っています。)

 

それに加えて配信を無料でするから家で観ることが出来て、現場に来てくれる人が損をする。と。

 

なるほど……

 

という事は”生のLIVE”に価値がない、という事でしょうか?

 

最も苦しく悔しく感じたのはこの部分です。このコロナ禍になってから、数現場コドモメンタルINC.でも行いました。そこへ足を運んでくれた方々にお聞きしたい、そのLIVEは価値のないものでしたでしょうか?ここは忌憚ない意見を頂戴したいと思います。仮にそうだとしたら僕はこの仕事から退くべきだと思います。僕の感覚が全くもって間違っていたと素直に認めるしかありません。

 

合わせて、配信というのはプラスアルファで経費がかかる事です。当たり前ですが、カメラマンを入れてスイッチングや配線周りの人を配置しなければならない。それではどうして無料で行っているのか?この部分が気になる人もいると思います。この説明をするのならば、

 

正直まだ手探りだから。

 

です。LIVEを会場で出来るようになってから、数回ありましたね。配信もあって、観客もいるという試みが。色んな意見も目にしました。こんな事ならもう二度とLIVEに行かないって言ってる人もいましたね。色んな意見があるのでそれ自体は仕方ない事だけど。僕はこのLIVEが出来るようになってから、配信も同時に入れた中で「お金をもらっても大丈夫」と思う配信は数回しかありませんでした。LIVEハウスで行う配信に関してですよ。

 

やはりそれは、会場の大きさや設備や環境などがかなり大きなウェイトをしめています。逆を言えば今無観客配信をやられるアーティストはそこに向けて徹底的に準備してきた人たちであり、環境も設備も圧倒的に整えてそれを行っています。それは普段のLIVEと変わらずお金を頂く価値が存在するでしょう。僕らは逆を行きました。何ヶ月も準備して行う無観客配信ではなく、もう今すでに日本各地のLIVEハウスを使って出来る範囲の対策をしてその場所でLIVEをする。こんなのどちらが正しいとかはありません。

(追記:勘違いさせてしまったかもしれないので。弊社のアーティストがお金を頂いて配信に堪えない、クオリティが低いLIVEをしていると思っているわけではありません。配信に関する別部分でお金を頂けるかどうかが変わってしまうということが言いたいことです。会場設備・照明・配信機材・配線や回線に至るまで、例えば絶対安定的に画が供給されるのか、などの問題を含めてのことを言っています。)

 

コロナ禍になってから最初の方に配信を始めていった僕らとしての結論はまだ全然出ていないんです。ただ一つ言えるのは、配信ライブとして、自分たちの納得の上でお金を頂けるなと思ったのが数回しかないということでした。それも未だ実験中です。だからこその無料であります。そして、何より会場に来てくれたファンの皆には圧倒的な生を体感してもらった自負があるんだけど、それは皆がどう思ったのかにもよるね。でも僕はそれを、それだけを信じています。

 

あとはメモリアルな公演などだと(最近で言えば中野公演や、SPACE ODDの公演)、どうしても今この状況の中で会場に来られない人たちも観られるようにって考えます。理解してるよ、それでも会場に来てくれる人たちがいることを。感謝こそすれ、蔑ろになんて決してしていないし、何より演者がそんなLIVEを絶対にしない。だから、LIVEだけになってしまうけど会場に来てくれた人たちは価値があったと思ってもらえてると信じています。

 

あと配信と現場では明確な違いもあります、最近では。星歴やつれづれなど全編配信したことがあることもあるけど、それには意味がありますし、ぜん君。中野ではアンコールは配信されていないし、脱退LIVEでのMCは会場のみの予定でした。一部配信業者がミスをしてしまってMCが届けられてしまいましたが、本来的にはMCは会場に来てくれた人の為のものでした。二部でそれをちゃんと体現したら「闇を感じる」とか呟かれてたけどそんなわけない。最初から明確に決めていたことです。

 

長々書かせてもらったけれど、これが配信に関する僕個人の考えです。

 

とは言え、コドモメンタルは今現在僕個人の考えを貫き通すという意味を持って経営しているので、コドモメンタルの意志でもあります。

 

納得行かないって人がいるのも承知しています。だから悲しいけどそういう人たちは自分たちでLIVEに行くかどうかを今まで通り決めてくれたらいいと思います。僕らは変わらずにまだ実験途中だからこそ、模索しながらもがきながら現場をやって行きます。

 

中野のこと、コドモメンタル祭りのこと、よつやあけぼのやぜん君。のこと、違うグループやアーティストたちのこと、書きたい事は山ほどあるけど、やっぱり時間がかかるから、また今度にしようと思う。

 

ひとまず、今日は配信に関することを書かせてもらいました。これも価値観は人それぞれ、何が正しくて何が間違ってるかわからない今だからこそ、僕らは止まらずに出来る限り前向きに進んでいるつもりです。それで嫌な想いをする人がいたとしたら、それは申し訳ない、ごめん。でも、会場に来たら僕はこの目と体で体感した、とてつもない楽しいLIVEが待っています。だから、今この混乱中の業界の中でも笑って生きていられるんだなと強く思います。

 

これからもそんな演者たちのLIVEやその他全てをサポートしていけるように、頑張りますね。

 

追記:様々な意見は全て大切な意見だと思っています。その中で僕らにとっては悔しいことも悲しいことも、あって然るべきだと思っています。だから否定的な意見があってもそれは当たり前のことで、それを封殺したいと思っているわけでは全然ないです。

 

と、見かけた意見の中でチケットを売る前に配信があるのかどうかを明記して欲しい。というのがあったけれどこれに関しては可能不可能以前の問題で、以前よりチケットがソールドしている公演を配信したりする文化はありました。今は特にそうで、ソーシャルディスタンスにより箱のキャパ制限があります。半分ならいい方で1/3というところも沢山あります。そういう意味でも基本的には配信も同時にしたいという想いもありながら現実的に出来るかどうかを会場側とも話し合ったりしなければなりません。だからこそチケット販売をする時点でそれを明記するのは正直難しくもあります。可能な箇所も存在するのは事実ですが、今後はその検討はしようと思っています。

©︎ ぜんぶ君のせいだ。